フッ素がどのように役立つか歯科の観点から解説いたします

コップと水

「フッ素入りブラッシング」「フッ素入りうがい薬」など、誰しも一度はこの言葉を耳にしたことがあるかと思います。

では一体、物質の効果とは何なのでしょうか?どんな働きがあるのでしょうか?

予防効果と虫歯との関係とは?様々なことを学んでいきましょう。

フッ素の正体

フッ素(原子記号F)は、地球上のどこにでもある元素のひとつで、魚介類や海藻、牛肉など、多くの食品に含まれているミネラルです。

虫歯の予防には欠かせないミネラルで、細菌を抑制したり、歯や骨を丈夫にするという大事な役割を持っています。

うがいをする子供

なぜ高い効果があるのか

実はフッ素は、エナメル質を強くする効果を持っています。

食事中、表面のエナメル質からはカルシウムイオンやリン酸イオンが唾液の中へと溶け出しています。

しかし、この溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンを元に戻す「再石灰化」という作用があるのです。

さらにこの再石灰化の際、フッ素イオンを取り込んで、フルオロアパタイトという硬く強い結晶構造を作ります。

フルオロアパタイトの見た目は普通と変わりませんが、酸によって溶かされにくいという性質を持ち、虫歯になりにくいベースを作ることができます。

毎日のブラッシングの時、フッ素を補給することで、菌に負けない強いベースを作ることができるのです。

虫歯予防対策にはフッ素が最も効果的だと言われています。

うがい

いつから使えばいいのか

高い効果を出す為には、生えてきて間もない時に使うのが一番効果的だと言われています。

生後6ヶ月~3歳頃までが効果が高く、その後は4歳~15歳頃までに生えてきますので、その時期に使うと一番効果があるということになります。

中学生まで専門のうがいを続けた子供は、大人になってからも虫歯になる確率が60%も少ないという研究結果もあるほどです。

また、大人の虫歯予防にも一定の効果がありますので、予防の観点からするとブラッシングやうがいは一生続けたほうが良いと考えられています。

どうやって使うのか

フッ素は、日本では9割以上のブラッシング剤に配合されています。

配合されるフ濃度は上限が1000ppm未満と決められていて、成分名は「フッ化ナトリウム」や「モノフルオロリン酸ナトリウム」となっています。

フッ化ナトリウムはイオンになりやすく、表面のエナメル質部分に素早く反応し、効果を出すと言われています。

ブラッシングが最も効果的なのは、夜眠る前です。

眠っている時は唾液の分泌が少ないため、虫歯になりやすい時間帯ですが、口腔内の濃度を比較的長く保つ事ができます。

ブラッシングの際は、口全体にブラッシング粉が広がるようにして、磨き残しの無いように丁寧にブラッシングしましょう。

その後、ブラッシング粉を吐き出したら、口の中に少量の成分が残るように10~15ml程度の少量の水でうがいをして終了です。

何度もうがいをすると、せっかくのの成分が洗い流されてしまうので注意しましょう。

また、専門の医院や要指導医薬品取扱店では、フッ素を使った洗口液(うがい薬)を売っています。

含有されている洗口液はブラッシングよりも効果が高いと言われているので、洗口液を使ってみたい方はかかりつけの専門医に相談してみると良いでしょう。

まとめ

フッ素は、虫歯予防にとても大切なミネラルです。

白くて健康的な歯をいつまでも保つためには、子供の頃からブラッシングや成分が含有された洗口などの習慣をつけておくと良いでしょう。

面倒臭がらず、丁寧なブラッシングをすることも大事です。

また、なるべく食後すぐにブラッシングやうがいをするように心がけて下さい。

そうするだけで、虫歯にかかる確率は大きく下がるのです。